この記事の結論
社内の資料をもとに答えるAIチャットボット(RAG)は、対象の資料と質問の種類をしぼれば、小さく試せます。試作は10万〜100万円・数日〜数週間が目安で、本番向けは100万〜300万円(目安・約1〜2ヶ月)です。情報の扱い方は、最初に決めておくことが大切です。
1. RAGとは何か、事業にとって何が良いのか
RAG(ラグ)とは、AIが答えるときに、あらかじめ登録した社内の資料を探して、その内容をもとに答える仕組みです。AIに「会社の辞書」を渡して、調べながら答えさせるイメージです。
事業にとっての良い点は、「社内の問い合わせ対応の時間が減る」ことです。就業規則、製品マニュアル、よくある質問などを、毎回人に聞かなくても確認できます。
中小企業では、詳しい人に質問が集中しがちです。その負担を減らせます。新しくサービスを始める方も、自社サービスのサポートに使う形で応用できます。
2. 最初に決める、3つのこと
作り始める前に、次の3つを決めます。
- どの資料を読ませるか:最初は、就業規則や製品マニュアルなど、整った文書にしぼる
- 誰が使うか:全社員か、特定の部署か。見せてはいけない資料は、使う人ごとに分ける
- どんな質問に答えさせるか:「答えられない質問には、無理に答えず担当者を案内する」と決めておく
たとえば、給与の資料は人事の担当者だけが見られるようにする、といった線引きが必要です。誰が何を見られるかを先に決めると、あとの作り直しを防げます。
3. 情報漏えいを防ぐための考え方
社内の資料を扱うので、安全面の確認は欠かせません。主な確認点は次のとおりです。
- 入力した内容が、AIの学習に使われない設定になっているか
- 資料の保管場所が、アクセスできる人を限定できる設計になっているか
- 誰が何を質問したかの記録(ログ)を、残せるか
- 資料を更新したとき、古い内容が残らないか
使うAIのサービスごとに、データの扱いの規約が異なります。規約の内容は、発注前に開発会社と一緒に確認してください。会社の規則に合わせた判断は、必要に応じて専門家にも相談を。
4. 安く、正しく答えさせるための工夫
費用を抑えつつ、答えの質を保つ工夫を3つ紹介します。
- 資料を、見出しごとに短く区切って登録する(探しやすくなる)
- 答えのもとになった資料名を、一緒に表示する(確認しやすくなる)
- 間違いが出た質問を記録し、資料の書き方を直す(少しずつ精度が上がる)
Ill(イル)株式会社では、Claude Codeを使った開発と、ベトナムの開発チームとの分業で、試作のコストを抑えています。まず1つの資料群で試し、答えの質を見てから範囲を広げる進め方がおすすめです。
5. 発注前のチェックリスト
- 読ませる資料が、データとして整理されているか(紙や写真だけではないか)
- 答えを間違えたときの、確認と訂正の流れを決めたか
- 個人情報や取引先の秘密情報を、資料に含めるかを決めたか
- 試作で、何を見て成功とするか(正しく答えられた割合など)を決めたか
社内向けチャットボットの費用の目安
読ませる資料の量と、安全面の要件で費用が変わります。
| 開発の規模 | 主な内容 | 他社の目安 | Ill(イル)株式会社 | 想定期間 |
|---|---|---|---|---|
| 試作(1つの資料群で試す) | 資料の登録、質問と回答の画面、答えの出典の表示 | 300万〜700万円程度 | 10万〜100万円 | 数日〜数週間 |
| 本番向け(部署・全社で使う) | 使う人ごとの権限、利用の記録、資料の更新の仕組み | 700万〜1,500万円程度 | 100万〜300万円(目安) | 約1〜2ヶ月 |
| 大規模・高い安全性 | 多数の資料の連携、社内の他システムとの連携、厳しい安全基準への対応 | 1,500万円以上 | 個別見積もり | 要件により異なる |
他社の目安は参考値です。AIサービスの利用料は、使う量により別途かかります。Ill(イル)株式会社の金額は、機能や条件により変わります。
よくある質問
社内の機密資料を読ませても、安全ですか?
設定と設計しだいです。入力内容が学習に使われない設定にする、見られる人を限定するなどの対策が必要です。どの資料を読ませるかを、まず決めてから相談してください。
AIが間違った答えを出すことはありませんか?
あります。そのため、答えのもとになった資料を一緒に表示し、人が確認できる形にします。答えられないときは担当者を案内するよう、決めておくと安心です。
資料が紙やPDFばかりでも、使えますか?
多くの場合は使えます。ただし、文字を読み取る作業や整理が必要になり、その分の手間がかかります。最初は、すでにデータになっている資料から始めるのがおすすめです。
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